社長コラム 2020.09.28

仮想現実(VR)について

 皆さんも感じているのではないでしょうか?仮想現実(VR・AR・MR)と現実との距離感が、どんどん小さくなっていると…。特にゲームや映画においては、この事が加速度的に進んでいる様に思います。又今コロナ禍の中で、リモートによる会議や打合せが企業の大小に関わらず行われています。現状では、移動時間の節約やリアルタイムでの打合せも可能ですので、うまく使えば格段に生産性は上がりますが、まだ対面での打合せや会議と比べると思いの伝わり方などには課題がある様に思います。しかし、近い将来には、VR・AR・MRの技術を駆使すれば、リモートにおいても対面で話をしているのと同じ様な状況になっていく事は間違いないでしょう。今でもすでにありますが、自宅にいて旅行ができる。それも本当に現地を旅行している様な極めてリアルな仮想現実を作り出す事が可能になっていくのです。私たちは、近い将来この様な事がいろいろな分野で加速度的に起こってくる事をしっかり認識した上で、仕事に取り組んでいかなければなりません。

 

 建築業界においてこの事について考えてみますと、まず感じる事は他業界と比べて極めて遅れているという事です。他業界、特に製造業の人たちが建築現場を観られると、まず物の大きさに驚き「すごいなあー」と言われますが、次には現場における「ロス・ミス・ムダ」の多さを指摘されます。それがあまりにも多すぎて、何から言っていいのかわからないほどの様です。私たちは業界の中にいて業界における既成概念にドップリ浸ってしまっている様です。建築業界においては、今まで建物を建てるためのシミュレーションはせいぜい簡単な模型ぐらいです。施工上の課題は、ほとんど現場が始まってから解決をしているのが現状であります。そのために現場に大きな負担がかかってしまっているのです。働き方改革が叫ばれていますが、四週八休なんて夢の又夢であるというのが業界の常識になってしまっているのです。

 

 そんな中で、私たちは「フロントローディング」の推進によって現場における「ロス・ミス・ムダ」を無くし生産性を高める事によって働き方改革の実現を目指しています。キーワードは「シミュレーション」です。着工前に着工から完成までの施工シミュレーションをしっかり行なってから現場に入れば、着工後の「ロス・ミス・ムダ」は格段に減っていきます。現場で起きた課題は、すぐにデータとして取り込み次の現場に生かせる様にします。若い社員の教育も、パイロットが操縦できる様になるために飛行のシミュレーションを繰り返し行うのと同じ様に、施工シミュレーションを繰り返し観て現実の現場と対比する事をやっていけば今まで十年以上もかかって身に付けた施工管理技術は、やり方によっては、2~3年で身に付けられる様になっていきます。いや、それができないと会社として生きていけなくなると思われます。営業のやり方も変わってきます。紙や口だけの営業では通用しなくなります。企画から完成・メンテナンスまで、過去の物件を映像で観せながら合意形成を図っていく様になっていくでしょう。仮想現実の世界でしっかりと、又リアルにシミュレーションできる事が増々重要になってくるという事であります。

 

 現実と仮想の区別がつかないほどの世の中がもうすぐやってきます。建築業界もそれに合わせて大きく変わらざるを得ません。既成概念を取り払い、創造力を十二分に発揮し社会の変化に対応していきましょう。面白い時代になってきました。チャンス到来です。個人としても会社としても、明るく元気に楽しくチャレンジしていきましょう!

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